クラシコ・イタリアとは

クラシコ・イタリアとは


オーダースーツ クラシコ・イタリアとは

ここ数年、雑誌等で英国のクラシックスタイルが取り上げられていますが、それ以前にはクラシコ・イタリアと言う言葉を耳にしていたと思います。

 

似たような言葉なのですが、内容は全く違ってきます。今回はクラシコ・イタリアについてご紹介しますので、前回の「クラシックスタイルとは」と合わせてお読みいただければ幸いです。

<< 目次 >>

  1. 1.クラシコ・イタリアとは
  2. 2.クラシコ仕様

1.クラシコ・イタリアとは

クラシコ・イタリアと言うのはスタイルではなく、1986年にフィレンツェに結成されたクラシコ・イタリア協会に加盟するサルト(仕立屋)が生み出す製品の傾向(仕立て・スタイル・拘り等を含めた物)を指します。

 

クラシコとは日本語にすると「クラシック」「古典的な」と言う意味になりますが、イタリア語で「クラシコ」の第一義的(最も大切な根本的な意義)な意味は「(芸術などが)最高水準の」、次に「模範的な」「高雅な」と言った意味を持っています。

 

その事を踏まえて「クラシコ・イタリア協会」を考えると、「イタリアの最高水準のモノづくりをする集団」と言うことになります。

オーダースーツ クラシコ・イタリアとは

クラシコ・イタリア協会の結成された背景を理解するために、イタリアの歴史を振り返ってみます。

 

イタリアは1860年に統一されるまでさまざまな異国の文化が入り込んでいて、英国貴族の人々はナポリでバカンスを過ごすのにお抱えの職人を連れてきて服を作らせたりしていました。その中でナポリのサルトに所属するアルティジャーノ(職人)は英国の服作りを習得すると共に、ナポリの培ってきた服作りのテクニックと融合させ進化させてきました。
この背景がクラシコ・イタリアのスーツが英国の流れを持ちながら、イタリアらしいく軽く柔らかな生地でエレガンスさを醸し出しているゆえんです。

 

その後、特定の王族や貴族に向けた服作りやモノづくりをしていた時代であれば問題はなかったのですが、戦後、イタリアのハンドワークに注目したヨーロッパ各地から注文が相次ぎ、需要と供給のバランスが崩れてきました。
そこで、大量の需要に応える為にマシンを導入するなどして、大量生産に応える方向の流れも生まれてきました。

その動きの中で大量生産による伝統的なアルティジャーノの技術が失われるのを危惧し、アルティジャーノの技術を守り後世に残していこうと結成されたのがクラシコ・イタリア協会なのです。

 

協会の目的を上げると

 

1.ハイ・クオリティの製品づくり
2.モノづくりに必要なアルティジャーノの技術を継承する
3.受け継がれてきたイタリアのクラシック・エレガンスを後世に残すこと

 

があり、これを実践していくのが「クラシコ・イタリア協会」になります。

 

協会の作り出す製品に共通しているのはクラシック・エレガンスと言う「思想」で、それを実現する為に必要不可欠なのがアルティジャーノの「技術」です。

とはいえ一人の職人が作る製品の数は限界が有ります。そこで、協会が行ったのは職人のハンドワークを極力維持しながら、工業的生産レベルのモノづくりを実現する、つまり大量生産可能な体制を整えることでした。
スーツで言えばもともと1人の職人が全てを担当していた業務を分割し、作業効率を上げた事が挙げられます。

 

更に、分業したパートがハンドワークでなくマシンを導入しても着心地に影響がないなら、マシンを導入し効率を上げる。ただし、見た目に影響するボタンホールやステッチ等は、昔ながらのテーラーの手法でハンドワークを駆使する。これらのことを徹底して、大量生産可能な体制を作り上げました。

 

これがクラシコ・イタリアの製品が既製品で有りながら、アルティジャーノの手作り同様のエレガントさを感じさせる理由です。

 

全盛期にはブリオーニ、キトン、イザイア、ルイジ・ボレッリといった、まさにイタリアンクラシコの最高峰のブランドが所属していましたが、各ブランドが総合アパレル化、グローバル化する中で脱退していき、所属ブランドはすっかり様変わりしています。

2.クラシコ仕様

「クラシコ仕様」と言う言葉を耳にすると皆さんが想像するのは「クラシコ・イタリア」だと思います。
しかしクラシコ・イタリアというのは厳密に言うとデザインやスーツの仕様でなく、前に述べたクラシコ・イタリア協会に加盟するブランドが作る製品を指しています。

 

そう考えると、日本製クラシコイタリアのスーツは無い事になりますが、日本ではクラシコ・イタリア協会の製品傾向を踏まえて有名セレクトショップが紹介した3つボタンスーツがクラシコ仕様として定着しています。

 

クラシコ・イタリアの製品は中々手に入らないので、クラシコイタリアのエレガンスなこだわりを踏まえたクラシコ仕様を楽しむのも良いかと思います。いくつかご紹介してみますので、参考にご覧ください。

2.1 3釦中掛け

オーダースーツ 3釦中掛け
オーダースーツ 3釦中掛け
三つボタンスーツと言っても3種類があり、1つは3つ釦2つ掛けと言って上2つのボタンを留めるタイプでVゾーンが狭くなります。次は3つ釦中掛けと言って、真ん中のボタン1つを留めるタイプで前者よりVゾーンは広くなります。もう1つは三つボタン段返りと言って第一ボタンがラペルのロールで隠れているため2つしかボタンが見えないタイプです。

3つ釦中掛けは三つボタンといってもラペル(下衿)の折り返しが下まで来ていてVゾーンも広く、見た目はシングル2釦とあまり変わりありません。この第一釦を止めないことというのがポイントで、それによって独特の豊かなラペルのロール感が実現できエレガントな雰囲気を醸し出しています。

 

ただし、三つボタン釦中掛を知らないクリーニング店に出すと、一番上のボタンでプレスされて衿のロールが無くなってしまう事が有るのでご注意ください。

2.2 本開き

本開き
本開き
スーツの袖のボタンが飾りでなく実際に開けられる仕様を「本開き」や「本切羽」と呼んでいます。

 

本開きの期限は19世紀の初頭にナポリの仕立て職人が初めて袖にボタン穴をあけたという事です。

 

イギリスのスーツがボタンを閉じた状態の開き見せで仕上げるのがスタンダードなのに比べ、ボタンの外し方でスーツにアクセントを付けるのはイタリアならではの遊び心だと思います。

 

第一ボタンを外したり、4つのボタンを交互に外したり、その日のスーツにアクセントを付けてはいかがでしょう。

2.3 釦(コロッツオー:ナット釦)

釦
釦
釦はスーツの顔です。南米ヤシの実から作られるナット釦はイタリアでは通称「コロッツォー」と呼ばれていて、水牛釦の重厚な雰囲気とは違った洒落た雰囲気が有るボタンです。

 

木の持つ暖かみが伝わり使い込んでいくうちに光沢と味わいが出てくるのもナット釦の魅力で、既製のスーツではあまり見かけないので是非お試しください。

2.4 その他

その他
その他
高めのゴージラインや、舟形の胸ポケット、絞られたウエストライン等を表現すると、よりクラシコ感が出てきます。

 

ビッグヴィジョンのスタイルですと、薄手の肩パッドや軽いハーフ毛芯を使用してイタリア的な軽い着心地を目指したV2・V3がお勧めのモデルになります。(V2は薄手の肩パッド入り、V3はセンツァインテルノと呼ばれる肩パッドなしのモデルです。)

 

ディテールは伝統的なテーラーリングを再現したセットバックショルダーラインに、高めのゴージライン、丸みを付けたフロントカット、バルカポケット(舟形の胸ポケット)など非常に凝った作りとなっています。


クラシコ・イタリアを語るには、伝統的なアルティジャーノの技術を抜きには出来ないと思います。手縫いのスーツにはマシンで仕上げた既製スーツには無い身体にフィットする着心地があり、羽織ると明確な違いとなって現れます。

 

ビッグヴィジョンのオーダースーツはマシンメイドですが、既製スーツには無いオーダースーツならではの「サイズ感や補正」で手縫いに近づけるよう努めています。ぜひ、お近くのお店にお立ち寄りください。


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