中国のいま

 はじめまして、ビッグヴィジョン仕入担当の閏間(うるま)です。

皆さんは、中国製のスーツ生地をどのように思いますか?


 ・ 中国の生地は、なんとなく安っぽい
 ・ 品質ではまだまだ日本製より劣っている



そんなイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。

仕入担当の立場から申しますと、中国製生地の魅力は何といっても『 コストパフォーマンス 』です。
ところが、中国国内の人件費の高騰や元高円安による為替の影響により、日本と中国の内外価格差が縮小してきました。
アパレルの業界では国内回帰の動きや、昨今中国一辺倒にならないようにチャイナプラスワンがささやかれています。
そこで、本当に中国生地の魅力が薄れてきたのか、直接中国に見に行ってくることにしたのです。

当社が資本参加している北京縫製工場のグループ会社である生地商社の方にアテンドしていただき、下記の日程で『生地の見本市、生地の生産現場、生地の集散地』を見てまいりました。
  

○ 生地見本市:『inter textile SHANGHAI apparel fabrics 2013』:10/21〜22
○ 工場視察:毛紡績織布工場:10/23〜24
○ 生地の集散地:紹興:10/25


結論から先に申しますと『規模では日本をはるかに超え、品質でも差がなくなり、ファッショントレンドも積極的に取り入れ、生地についてはむしろ中国が世界の中心である』と、そんな思いを持って帰国しました。


まず、はじめに上海で開催されていた生地の見本市『インターテキスタイル上海2013』をご紹介します。


インターテキスタイル上海2013

 この見本市は98カ国から69,000人以上の来場社と35の国から3,751の出展がありました。
15のホールを使用し、それぞれ出店地域や用途、素材でカテゴライズされているのですが、皆さんがイメージするとしたら東京モーターショーをする有明のビッグサイト全部がその1つのホールぐらいの規模ですから、ビッグサイト15個分です。
ですからアパレル向けの生地の見本市としては出展者数、来場者数、規模ともに世界最大の展示会です。
インターナショナルホール内のサロンヨーロッパでは、欧州の生地メーカー250社以上が出展し、その中には、ミラノで開催されている『ミラノウニカ』もパビリオンを設けてあり、ゼニア、ロロピアーナ、キャノニコといった、そうそうたるイタリアのメーカーも参加していました。

さらに、時期を同じくして上海市内の他の会場ではプルミエール・ビジョン・チャイナも開催されていました。
欧州の生地メーカーも中国を注目し、その規模、影響力、集客力には驚かされました。
また、マーケットを見据えた展開方法など、提案力も高いと感じとれました。

▼会場の様子は、こちら▼


工場視察

 中国製の生地で、当社が主に使っている生地メーカーに行ってきました。
そこは、上海市内から100キロぐらい離れた張家港という所にあります。
従業員が約2000人で、年間約1000万mを生産しています。
スーツに換算すると、およそ330万着分になります。
すごい生産量ですが、中国国内の規模では10番目ぐらいに位置しているそうです。
長年当社がこの工場を使用している理由は、品質管理がしっかりしている点です。
その理由が今回工場に行ってよく解りました。
品質管理には当社専属の担当がいて、その方が当社からの注文分をすべて一人で品質チェックをしていました。
責任が明瞭なのです。品質に問題があれば、当然担当者の責任になります。
こちらとしても信頼でき安心です。 また、日本では数少なくなった紡績から織布、染色、整理加工まで自社で一貫生産していますので、『繊維や糸の種類、色柄や織り方、肌触りや見た目』にいたるまで、こちらが求める要求に対してきっちり対応してくれるのが、このメーカーの魅力です。

▼工場の様子は、こちら▼
とはいえ、一社に集中は危険なので、別のメーカーを見学してきました。
2番目に行ったメーカーは最新鋭の機械を導入し生産性が非常に高い工場でした。
日本の販路も数多く持ち、縫製も自社で行い紡績から最終製品までを手がけていました。

また、技術力も高くナノテクや日本が強みにしていたブラックフォマール用の濃染加工なども行っていたので、サンプルを依頼してきました。

もう一カ所、工場も見学する予定でしたが、時間がなくなりオフィスでサンプルだけを拝見してきました。
その際見せてもらったサンプルにはカシミヤ100%のスーツ地がありました。

拡大する
カシミヤ100%のコート地はよく目にしますが、スーツ地はほとんどありません。
カシミヤでスーツ地を作りには、コート地より細い糸を作る必要があります。
そのためには、均一の長い繊維だけを選別しなくてはならず、手間がかかるので高価なためあまり流通していません。
そして、このサンプルにはイタリアビエラのブランド商標をとり、ラグジュアリー素材として展開していました。

3社を見た感想ですが、『品質管理力高級化提案力』ともに素晴らしいと感じました。


生地の集散地: 紹 興


 紹興は紹興酒発祥の地としても有名ですが、世界最大の生地マーケットがあります。
聞くところによると、その数30,000軒だそうです。
紹興を訪れた理由は、実はレディース生地の開拓です。
昨年の秋からビックヴィジョンでもレディースをはじめましたので、継続的にしっかり取り組める所を探しに行ってきました。


5年程前にも紹興に行ったことはあったのですが、その時の印象は玉石混交で、たくさんありすぎて、選別ができない感じでした。
今回はインターテキスタイルで事前にピックアップしターゲットを絞っていったので、具体的な話がかなりできました。
依頼したサンプルはまだ届いていませんし実際取引ができるか結論はでていませんが、感想としては「選別さえ間違えなければ十分使える物がある」そんな思いを持ちました。

▼紹興の様子はこちら▼


最後に、中国視察を通して感じたことですが、中国の強みはコスト力だけではないということでした。
価格競争からの脱皮のために中国のも高級化路線、差別化路線をはかっていることが確認できスケールとパワーでは圧巻でした。
今後バイヤーとしては、産地のイメージに惑わされることなく世界同一基準で生地の価値を見極めていきたいと考えております。

▲ページ上部へ